第29章 赤い糸　♪

そして、捻挫した足を固定してやろうと、サラの足に触れると、サラはびくっと驚いて足を引っ込めた。


「…手当てをしようと…」

「あ…そ…うだよね。ごめん。」


サラはかあっと顔を赤くして、正面を向くと、素直に俺に脚を差し出した。

俺のシャツを着ただけのサラの細い脚を太ももまで辿ると、チラリと白いものが見え、思わず目を逸らした。

ある意味拷問だ。この空間。

頭の中で必死に違うことを考えながら、サラの脚にテーピングを巻いた。


「これで、とりあえずマシになるだろ。」

「うん。ありがとう」


サラはそう言って俺に笑った。

胸が苦しくなる。
笑いかけてくれるのが久しぶりで、思わず抱きしめそうになった。

そのとき、まるでそれを阻止するように、暖炉の上に干していたサラの上着から何かが落ちた。