【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第29章 赤い糸 ♪
「さっむ…」
風が強くなってきて、雨も止む気配が一向に無い。
足が痛むのに、手足の指先の感覚はない。
前に、水槽で溺れそうになった時の恐怖を思い出した。
あの時も、みんなに心配かけて、あの時から赤井さんの態度が変わった。
こんな風に、肝心な時にわたしはいつも弱い。
数々の修羅場をぐぐってきて、銃で撃たれたことだってあるのに。
ため息をつきながら、体育座りをしておでこを腕につけた。
もうすぐ夜になる。このままあと数時間、朝までここで待つしかない。
そんな時だった。
「サラ…?!」
なんだかとても久しぶりな声で名前を呼ばれた気がした。
パッと顔を上げるが、雨が目まで浸透してきて視界がぼやける。
誰…?零?
だんだんと近づいてくるその人影を、わたしは目を凝らして見た。
そして、その人の顔が見えた時、まさかそんなはずない。と思い、目を擦ってもう一度見た。