【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第29章 赤い糸 ♪
「ただいま、入ってきたニュースです。
埼玉県A市のキャンプ場で、大規模な土砂災害が発生しました。
キャンプ場客が何名か巻き込まれたとの情報が…」
ドクン…
心臓が珍しく、軋んだ。
「そんな…サラお姉さん…」
「歩美ちゃん。これは埼玉県だよ。
ここは群馬だから、サラさんは巻き込まれてない」
ボウヤが歩美ちゃんの肩をぽんぽんと叩きながら、安心させようとそんなことを言った。
ボウヤの言う通りだ。
でももし、同じことが起こったら…?
サラに、もしものことがあったら…?
ドクン…
ドクン…
動悸がする。
これは以前味わったことがある。
サラが攫われた時と同じ、心臓の鳴り方だ。
「とにかく!
これから夜になります。
明日の朝、雨が上がってから探しに行きましょう。」
ホテルの支配人がそう言いながら、子供たちを宥めている。
待っていられるか。
俺は自分の脳内で考えるより先に身体が動いた。
その場から走り出した俺を、ボウヤが慌てて追いかけてくる。
「昴さん!!どこに…」
「決まっているだろう。探しに行く」
そう言って俺は、邪魔な変装を解き、変声機を首から外してその場に捨てた。
「赤井さん!危険だよ!」
「…悪いが、上手く誤魔化しておいてくれ」
それだけ言い残し、俺は博士の鞄から救急セットを取って肩にかけると、雨の中飛び出した。
「待て!赤井!!」
後ろの方で、バーボンが俺を呼ぶ声が聞こえたが、そんなものはもうどうでもよかった。
サラ…無事でいてくれ。
それだけを考えていた。