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【R18】You belong with me 【赤井秀一】

第5章 TiAmo ☆ ♪



工藤邸に帰ってきた。
赤井さんは夕方に戻ると言ってたな…。
今の時刻を見てみると、17時。
もう帰ってきてるかな?

早く安室さんの話をしたかったわたしは、一階の玄関ロビーを足早に抜けて、2階の赤井さんの部屋の前に向かった。


部屋からはかすかに何か話してる声が聞こえる。

赤井さん帰ってきてるみたいだ。
でも、誰かと電話中かな…?


部屋の中からは、赤井さんの声ともう1人、スピーカーフォンの声が聞こえる。

電話が終わるまで、部屋の中で待ってよう。
そう思い、赤井さんの部屋のドアをノックしようと、部屋のすぐ前に立ち、ノックする瞬間、
スピーカーフォンの相手の声がクリアに聞こえてきて思わず手を止めた。


「赤井君。
ジョディ君には本当のことを話したらどうだね?
君が死んだと聞かされた時、見てられなかったよ。
彼女にとって、君はただの同僚以上の存在だっただろう?
君にとっても。」


「…この作戦は、本当は誰にも話すつもりは無かったんですよ。
ジェイムズ、あなたに話したのはやむを得ずです。」


ジョディ… ただの同僚以上の存在…
わたしの心の中に、嫌にその二言が響く。
これまで赤井さんと暮らしてきて、その名前は聞いたことなかった。


「そうか。
…宮野明美くんのことを、まだ忘れられないかね。」

「…。」

「彼女のことは、本当に気の毒だったが、そろそろ自分の幸せを考えてもいい頃じゃないか?」

「忘れるわけにはいきません。
…自分の幸せは、二の次で良い。
あの組織を殲滅する方が先です。」

宮野明美…さん…
赤井さんの、恋人…なのかな。
でも、話の内容からすると、亡くなったの…?

だんだんと、自分の心に黒いシミができて、滲んでいくような感覚がした。

赤井さんは、今も亡くなった恋人のことを想ってるんだ…
わたしが、タクミを思い出すみたいに、彼女のことを思い出すんだ。

自分のことは棚に上げて、甚だしい被害妄想だって自分でも思う。

赤井さんの近くにいけたと、心が通じたと勝手に思ってた。
けど、赤井さんの心の中には別の誰かがいた。

わたしはドアのノックをやめて、音を立てないようにそっと自分の部屋へと戻った。
遠くの方で、スピーカーフォンの声が

「彼女のことを、まだ愛しているのか…」

と言う声が聞こえたけど、答えは聞きたくなくて思わず耳を塞いだ。

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