第29章 赤い糸　♪

馬鹿みたい。
今更、見つけたところで何になるって言うの。

そう思うのに、わたしの身体は必死に地面を這いつくばって探している。


どうしよう…見つからない…
この辺に落としたはずなのに…

頬がつくぐらい地面に這いつくばって、落とした巾着を探すが、全然見つからない。
小さい巾着だから、風で飛ばされたのかな…

バカだなわたし。

もう捨てるって決めてたのに。
いつでも捨てられるように持っていたんじゃないの？

なのにどうしてこんなに必死に探してるんだろう。

もう諦めよう…いい機会じゃない。
どうせ捨てようと思ってたんだから。

そう思って立ち上がった時、少し先の枝になにか引っかかっているのが見えた。
わたしはそこに向かってバッと走りだし、その枝の方に手を伸ばした。

もう少し…あと少し…

そして小さい巾着を掴んだ。
そのとき、バランスを崩して大きく体制が前に傾いた。

ヤバい。ここ、崖だ…
そう思った時にはすでに遅くて、わたしは高い崖を滑り落ちてしまった。


ズザザザザザッ