第29章 赤い糸　♪

手頃な薪をいくつか拾うと、わたしたちは元いた場所に戻ろうと歩いていた。


「結構時間かかっちゃったねー！
今何時だろ？」


歩美ちゃんがそう言うので、咄嗟にポケットの中のスマホを取り出そうとした時、いつも持ち歩いているアクセサリー用の巾着がないことに気付いた。


「あれ…」


ポケットの中を布ごと出しても、中に入ってるのはスマホだけ。
嘘…今日もちゃんと持ってきたのに。

いつでも捨てられるように
そんな言い訳をしながら、ずっと肌身離さず持ち歩いていた、あのネックレス。

ある種のお守り代わりにしていたのに。
わたしからサーッと血の気が引いていく。

何か無くした様子のわたしに気付いたコナンくんが、わたしに声をかけてきた。


「どうしたの？サラさん」

「あ…ごめん。
ちょっと落とし物しちゃったみたい。
さっきの場所探してくるから、悪いけどこれ持って先に戻っててくれない？」


そう言ってわたしが持っていた薪を、子供達に少しずつ分けて持たせると、わたしは大急ぎでさっき薪を拾い集めていた場所に戻った。