【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第29章 赤い糸 ♪
はぁ…とため息をつきながら、BBQの火起こしを手伝っていると、後ろからサラの声がした。
「お待たせ」
振り返ると、安室くんとサラが仲良さそうに並んで立って、子供達に話しかけていた。
笑っているサラを見ると、安心する。
サラはさっきまでひとつに結んでいた髪をほどいていた。
きっとそれをほどいたのは、安室くんだ。
「ねぇ!あっちに薪を拾いに行くんだけど、お姉さんも行こうよー!」
「うん。いいよ。」
「じゃあ、僕も」
「安室の兄ちゃんは昴のにいちゃんと一緒に野菜切っててくれよな!
料理上手だしよ」
「えっ?!」
「じゃあ、いってきまーす」
そう言って子供たちとサラは向こうのほうへ薪を拾いに行き、残ったのは俺とバーボンと阿笠博士だ。
安室くんは、俺の方を見て気まずそうにした後、はぁっとため息を吐き、俺の隣に来て包丁を握った。
まさかあのバーボンと並んで包丁を握ることになるとはな。
前にプールで浮き輪を膨らませた時も同じことを思った。
そして、あの時と決定的に違うのは、俺の隣にサラがいなくて、安室くんの隣にサラがいること。
決定的に違うんだ。
そんなことを考えながら野菜を切る俺に、バーボンはフッと笑いながらこちらを見た。
「…余裕ですね。」
「何がです?」
「まあ、自分から振ったんだから当然か」
「あぁ。サラのこと」
「サラって、馴れ馴れしく呼ばないでくれますか?」
「…」
「あなたのせいで、サラがどれだけ傷付いたか。」
返す言葉もなかった。
全部バーボンの言う通りだ。
「…幸せにしてやってくれ」
そんなこと、一生言うことはないと思っていたのに、俺の口から突いて出てきた。
バーボンはその瞬間、俺の胸ぐらをガッと掴んだ。
「言われなくてもそうするさ。」
そのまま数分間睨み合った後、阿笠博士が炭を持って戻ってきたのを見て、俺たちはスッと何事もなかったように離れた。