第29章 赤い糸　♪

赤井side


30分なんてとっくに過ぎてる。
きっと、2人は今頃部屋で…
そう考えると、嫉妬で狂いそうになる。

自分から捨てたくせに、
自分から手放したくせに、
安室くんなら安心だと思っていたはずなのに。

さっきも目の前でサラにキスをされた時、思わず銃を構えそうになった。

そんな資格ないことはわかっている。
わかっているんだ。


「昴さん？？」


大きな声で偽名を呼ばれ、反応が遅れた俺はハッとそちらを見た。
ボウヤが心配そうにこっちを見ている。


「どうした？」

「いや、その、あの2人とは別行動しようって僕からあいつらに言おうか？」


こんなふうに、妙に気を使わせてしまっている時点で大人失格だな。


「いや。問題ない。
俺の中では片付いたことだ」


嘘だ。何一つ片付いていない。
けれどさすがにここで俺が拒否するのは大人気ない。

そもそもサラを振ったのは俺だ。

振られたサラが俺から距離を置くならまだしも、振った俺がサラを避けるとは、男らしく無いにも程がある。