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【R18】You belong with me 【赤井秀一】

第28章 最愛 ♪




「わたしは赤井さんだけは撃てない。
けど、赤井さんになら撃たれてもいい」


そう言って目を閉じた。

散々な捨てられ方をしても、あのときの幸せをくれたのはこの人だ。
どうしたって、嫌いになんてなれない。

そして、不意を突かれるとつい、また愛してしまいそうになる。
今の幸せを捨てて、またこの人のところへ縋っていきそうになる。

こんな自分が嫌だ。
だから、それならいっそのこと殺してほしい。

彼に選択肢を与えて、目を閉じて待っていた。
ずるい女だと思う。


「…サラ」


しばらくして名前を呼ばれて、閉じていた目をゆっくりと開けると、
沖矢さんは銃を自分の胸ポケットにしまっていて、わたしに向けてなにかを放り投げた。

わたしはそれをパシッとキャッチすると、手の中にあったのはUSBだ。


「これ…」

「公安からハッキングされたデータだ。
FBIも追っていた組織だったから、持ち帰ってなにか手がかりになるものは無いかと調べた後、返すつもりだった」

「…赤井さん」

「俺も同じだ。
お前だけは、絶対に撃たない。
絶対に、お前だけは」


どうして…?

そんな特別みたいに言うの?
さっきまでの冷たい目はどこに言ったの?

沖矢さんの目は、とても切ない目でわたしを捕らえていた。

付き合ってた頃と同じ。
わたしの心臓を撃ち抜く弾丸のような瞳。

そのまま、沖矢さんはくるっとわたしに背を向けて、立ち去ろうとした。
わたしは咄嗟に、彼を呼び止めた。


「待って。ひとつ、答えて」

「何だ」

「わたしは、宮野明美さんの代用品だった?」


あの日、誘拐犯に言われたこと。
ずっと心に引っかかってた 代用品 というワード。

今更、こんなことを確認して何になるんだろう。
聞いたあとで激しく後悔したけれど、解き放った言葉はもうもとに戻せない。

また、傷だらけになるかもしれないのにわたしは沖矢さんの言葉を待った。


「お前を、あいつの代わりだと思ったことは一度もない。
ただの、一度も。」


それだけ言い残して、沖矢さんは機械室の奥へと姿を消した。

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