【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第28章 最愛 ♪
「わたしは、どんな任務も失敗しない。」
「ホォー。では撃つか?俺を」
「…」
わたしは、カチャ…とトリガーのロックを外した。
わたしが銃を構える時、心が乱れたことなんて一度もなかった。
いつも、至って冷静に虎視眈々と、目の前の相手が一番弱い絶好のポイントに狙いを定め、引き金を引くことに迷いはなかった。
今回もそうだ。
何も変わらない。
変わらないはずなのに、トリガーに指をかけた瞬間、視界が滲んだ。
初めて会った時、確かLAだったよね。
もうぼんやりとしか覚えていないけど、わたしが潜入してデータを奪って逃げようとした時、
こんな風にFBIに囲まれたときがあった。
その中に、赤井さんもいた。
それから数年後、東京の街であなたに再会した。
姿を変えて、名前を変えたあなたと。
その出会いの後、わたしの世界は一変した。
見える全部、聞こえる全部に色をつけたのは赤井さんだった。
気づけば恋に落ちていて、幸せだと噛み締めたと思えば、
突然不安に襲われて、疑心暗鬼になって、また抱きしめ合えば幸せを感じる。
ジェットコースターみたいに激しい、こんなたくさんの感情、初めて知ったんだよ。
愛してると言われた夜、24年間生きてきてよかったと心底思ったんだよ。
気づけばわたしの右目から涙が一筋溢れた。
「撃てない…」
赤井さんの方をみて、ポツリとそう零しながら、わたしは銃を構えた手をゆっくりと下におろした。
バカな女だって思ったでしょ?
だけど、無理だった。
「撃っていいよ。」
わたしの言葉に、沖矢さんは驚いたように目を見開いた。