【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第28章 最愛 ♪
わたしが銃を突きつけた相手、それは沖矢昴だった。
そして沖矢昴の銃口も、虚しくもこちらを向いてる。
「…赤井さん」
銃を向けたまま、彼の本名を呼んだ。
そんなわたしを見て、沖矢さんは冷たい目をして言う。
「…公安の犬になったのか」
公安の犬…そんな風に見えてるんだ。わたし。
赤井さんの目には、わたしはただの敵に写ってるんだね。
何度目だろう。
こんな風にこの人に傷つけられるのは。
いや、違う。
わたしが勝手に傷つくのは何度目だろう。
せめて、それがバレないように虚勢を張って銃を握り直した。
「それは、公安から盗まれたデータよ。
返して」
「これはFBIのヤマだ。
中身を確認するまで、返すわけにはいかない」
神様は残酷だ。
【もし俺が心変わりしたら、その時はお前が引き金を引けばいい。】
彼にそう言われたかつてのわたしは、
【そんなことできるわけない。】
そう言って涙を流した。
けれど今、わたしは大好きだった人に銃口を向けているし、向けられている。