第28章 最愛　♪

きっと、僕を守るって言うのも理由としてはあるだろうけど、一番はサラは無意識にウズウズしてるんだ。

平和を求めて普通の世界に飛び込んだくせに、平和すぎて逆に刺激を求めている。そんな感じだろう。

まぁ今回は、黒の組織は関係のない、別のマフィアの事件だし、僕がちゃんと見ていれば問題ないか。

つくづく、僕はサラに甘いらしい。
スマホを取り出し、風見に連絡をした。
大至急、用意して欲しいモノがあると。


「零？」

「…明日、夜21時に杯戸シティホテルだ。
ホテル内の具体的な場所までは割り出せていない。
ただ、その日そのホテルは休館日だ。」

「おそらく前日から泊まってそのまま潜伏してるパターンだね。」

「相手に気づかれないように、取引現場を抑え、データを奪い返す必要がある。」

「いいね！ワクワクしてきた！」

「…ただし条件がある。」

「なに？」

「勝手な行動はしない。
僕の指示に従う。無茶はしない。」

「はぁーい！ふふっ。
なんか零、引率の先生みたいね」


本当にわかっているのか？この子は。

呑気にそう言って笑うサラを見ると、若干不安が襲ってくるが、まぁ仕方ない。

サラはすこぶるご機嫌だ。
今まで連れてったどのデートよりもご機嫌かもしれない。


サラは上機嫌に鼻歌を歌いながら、食器を片した。