【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第28章 最愛 ♪
「盗まれたデータは、明日あるビルで秘密裏に取引されるみたいで、そこを確保しないといけないんだよ。
明日はオフのはずが仕事だ」
はぁーっと肩を鳴らしながらそう言う僕を見て、サラは思い立ったように僕に言う。
「…それ、わたしも協力できない?」
「え?」
突拍子もない提案に僕は目を丸くした。
協力??言っている意味が即座に理解できずにいると、サラは僕にダメ押しで言う。
「ほら、街で零に声をかけられた時言ってたでしょ?
公安のスパイにならないか?って。」
ようやくサラの言わんとしていることを理解した僕は、即答で却下する。
「駄目。」
「どうして?」
「危険だから」
「だって、前に零が…」
「前よりずっと、サラのことが大切になったからね。」
「…零」
「好きな女の子に、かすり傷一つ負わせたくないって、前に言っただろ?」
そう。前に言った。
あの時は沖矢昴の気持ちを代弁するみたいに、そう言った。
けれど今は違う。
僕自身が、君にかすり傷一つ負わせたくないんだよ。
「…でもね、わたし零の役に立ちたい。
わたし、助けられてばっかりだもん。
わたしが、零を守るよ?」
「…君を守るのは僕の仕事なんですが」
「それに、ハッキングした情報を取引するってことはタダものじゃないでしょ?
じゃあこっちもタダものじゃない人間が立ち向かうべきよ」
そんな、無理矢理な口実でサラはどうしても行きたいと言う目をして僕を見た。