【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第28章 最愛 ♪
零だ!ベッドから飛び起きて、慌てて玄関まで駆け寄ると、零は驚いた顔をしてこっちを見た。
「サラ?何かあったのか?」
あまりに慌てて近寄ってきたから不思議に思ったようだ。
「あ…ううん。
零が遅かったから心配した」
「あぁ、ごめん。
連絡入れる暇なくて。
…さみしかった?」
そう言って零は疲れてるのにわたしをぎゅっと抱っこしてくれた。
「うん…寂しかった」
「…ははっ。
君は、付き合ってからどんどん素直になりますねぇ。
前は、きっと 寂しくありません。って一蹴していたのに」
零がわたしの髪を撫でながらそう言った。
「当たり前でしょ?あの頃は…」
わたしはそこまでいってはっと口をつぐんだ。
あの時は、赤井さんしか見えてなかったんだから。
そう言いかけて咄嗟にブレーキをかけた。
零は、そんなわたしの心を読んで言う。
「まぁ、あの頃のサラは赤井しか見えてなかったから当然か」
わたしの頭をぽんぽんしながら零がネクタイを緩めた。
零はこんなふうにあの頃からわたしの心を読んでた。
「…でも今は、零のことちゃんと好きだよ?」
「ふうん。僕のどこが好きなんですか?」
「…ネクタイを緩めるときの仕草」
「そこ?!」
「と、わたしの心を読んでくれるとこ…あと、議論やおしゃべりするのが得意なとこ。
…それと」
「まだあるの?」
零は少しだけ笑いながら、わたしの頬にキスをした。
玄関でいつまでいちゃついているんだろう。わたしたち。
「零の、笑った顔が大好き」
「…すごい殺し文句だ。」
零はそう言ってわたしの大好きな顔で笑うと、その後突然真剣な顔をしてキスをした。
わたしは零のグレーのスーツをぎゅっと掴んで、零がちゃんと帰ってきたことを無意識に確認しようとしてる。
キスをしながら思った。
ああ、わたしが挙げた零の好きなところは全部、赤井さんにはないところばかりだった。