【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第27章 気付かれないように ☆ ♪
赤井side
廊下でサラとすれ違った。
サラは俺の方を見ないよう、下を向いて歩いていた。
俺は、どうしてもサラの方を見てしまう。
すれ違うとき、スローモーションに思えた。
今ここで、サラを抱きしめたら何か変わるだろうか。
自分から捨てたくせに、何を考えているんだ。
そう思っていたら、サラが足を少し引きずっていることに気づいた。
俺は咄嗟にサラの腕を掴んだ。
サラは心底驚いたような顔でこちらを見た。
久しぶりに触れたサラの肌は、変わらずに柔らかくて、その腕を引いて抱きしめたい気持ちが増幅していく。
どこか、怪我をしているのか?
そんな目でサラに聞くと
「靴ズレ…」
と、遠慮しがちに言った。
靴ズレ…俺は、どれだけサラに過保護なんだ。
散々ジョディに言われたな。
まだ性懲りも無く、こいつのことが世界一大切らしい。
呼び止めて悪かったと、サラの手を離したとき、あの観覧車を思い出した。
サラは俺に必死に手を伸ばしたが、俺は無視をして立ち去った。
その手がまた、俺の手のひらからこぼれ落ちていく。
この手を握って、腕の中に閉じ込めたらサラは怒るだろうか。
今更、そんな事するなと。