【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第26章 アップルパイ ☆ ♪
ご飯を食べたあと、アップルパイを食べるためにお腹を空かせようと、零が散歩に行きたいと言い出し、
わたしたちは、手を繋いで夜の散歩に家を出た。
「零の手って、あったかいよね」
「そう?心があったかいからね」
「逆でしょ?
心があったかいひとは手が冷たいんだよ」
そんなことを言いながら、その迷信は100%嘘だなって思った。
零の心は、本当にあったかいから。
冬真っ只中の夜は、息を吐くと白く揺れる。
零はわたしの方を見て、笑いながら言った。
「鼻、赤い。トナカイみたいだ」
「だって寒いんだもん」
そう言うと、零は自分がしていたマフラーをわたしに巻いてくれた。
ふわっと、大好きな零の香りが鼻にやってくる。
優しい。落ち着く匂い。
「でも、零が寒いでしょ?」
「サラを抱き寄せたらあったかいから」
そう言って、零は歩きながらわたしをぎゅっと抱き寄せるから、わたしは少しふざけて大袈裟に零に抱きついた。
「ぎゅー!」
「はははっ。こら、歩きにくい」
零はわたしの頭を撫でながら、わたしの手を握って零のコートのポケットに入れた。
あったかい。カイロなんていらないぐらい。
「ふふ。…冬、早く終わって春が来ないかな…」
「そう?僕は冬好きだよ。寒くてよかった」
「どうして?」
「サラの冷たい手を、温められるから。こうやって、ポケットで」
そう言って零は、わたしを見て笑った。
零は、よく笑う。そして饒舌で、わたしの欲しい言葉全部くれる。
「春になったら、車で遠出しよう。」
「いいね!わたし、菜の花畑にいきたい!」
「花畑?あのジェーンが?」
「うるさいなー!いいでしょ?」
零がからかいながらこっちを見るから、わたしはついぷいっとそっぽを向いた。
「サラ」
そのとき、零に名前を呼ばれ、なに?と振り返った時、零がわたしの唇を奪った。