【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第26章 アップルパイ ☆ ♪
零がシャワーから浴びる頃には、ご飯の準備ができていて、テーブルに並べると謎の達成感がある。
唐揚げ、ごはん、味噌汁、サラダ、小鉢にちょっとした副菜。
零は帰りが遅くなることばかりだから、ほぼ毎日作っていたら勝手に上達した。
つくづく、わたしは赤井さんに甘えていたんだなと思う。
「お。うまそう」
零がタオルで髪を拭きながらダイニングテーブルに着席した。
「梓さんに唐揚げのレシピ教わったの」
そう言って零のグラスにお酒を注ごうとすると、零が止めた。
「酒はやめとくよ。」
「そう?」
「今日は夜更かししたいんだ。
明日は久しぶりのオフだから」
零はそう言って、代わりにお茶を入れて、わたしが作った唐揚げを口に運んだ。
「んー。うまい」
「ほんと?」
「うん。今まで食べた中で一番うまい」
零はそう言って笑った。
わたしはふと思い出した。
まだ出会ってすぐの頃、わたしが作った炭みたいなハンバーグを赤井さんが食べてくれたこと。
思い出そうとしてないのに。
思い出しちゃいけないのに。
「サラ?どうかした?」
「ううん。なんでもない!
あ、アップルパイもあるんだよー!
でもこれは明日にしよっか。」
「いや、アップルパイも食べるよ。」
零はそう言って、わたしが出した夕食を全部きれいに食べてくれた。
幸せだ。こんな毎日が一生続きますように。とはもう願わないけど、せめて明日も同じ時間が過ごせますようにって祈った。