【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第26章 アップルパイ ☆ ♪
俺は毎日サラのことを考える。
サラ…最後に俺を思い出したのはいつだ…
自分から捨てたくせに、捨ててからその大きさを知った。
もう戻れないのに、忘れ方もわからない。
いっそのこと、出会う前にリセットできたらどんなに楽か。
「お兄さん!新作のケーキはいかがです?
味見もできますよ?」
サラのことを考えながら、デパートの地下で、阿笠博士の家に持っていくお菓子を買おうとぶらついていると、店員に声をかけられ俺は足を止めた。
子供たちは全員来ると言っていたから、博士の分と合わせて6つか。俺は食わんし。
…サラがいたら、きっとチーズケーキにするかティラミスにするか悩むー!と頭を悩ませていただろう。
ふ…と、またサラのことを思い出し、自分に呆れてしまうほど、まだサラのことが好きだと自覚する。
店員に、6つ同じものをと言おうとしたとき、不意に後ろからサラの声が聞こえた。
ばっと振り返ると、ちょうど真後ろにあるアップルパイのお店で、ショーケースに釘付けになっているサラの後ろ姿をみつけた。
沖矢昴の格好をした俺には気づいていないようだ。
久しぶりにサラの姿を見た。
髪…切ったのか。
俺はサラの柔らかくてサラサラの長い髪に触れるのが好きだった。
良い匂いがして、落ち着くから。
その髪が、今は鎖骨ぐらいまでで、切り揃えられていた。