第26章 アップルパイ　☆ ♪

赤井side


サラを最後に見てから、もう随分経った。
近所だから、そのうちどこかでばったりと鉢合わせるかもしれない。

そんな期待は現実になることはなく、俺は気付けば街中でサラの姿を探してる。


サラのマンションの前には、白いRX-7が停まっているのを時折見る。
こんな風に少しずつ他人になっていくんだろう。俺達は。


こないだボウヤと情報交換をしたときに、ボウヤがぽつりと呟いた。


「思い合ってるのに、一緒にいられないって、辛いよね」


そして、ジョディにはこの間こんなことを言われた。


「口では、あいつのことはもういいとか、忘れるとか言っておいて、まだ大好きなくせに！」


返す言葉もなかった。
サラは元気だろうか。

笑っているか。
ちゃんと飯は食ってるか。
危ない目にあったりしていないか。
怪我してないか。