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【R18】You belong with me 【赤井秀一】

第25章 プロローグ ☆ ♪




家に帰って荷物をトランクに詰めた。
お泊まりに必要なものと、服を数日ぶん。

足りないものがあればまた取りに来ればいい。
そう思ってトランクを引いて出ようとした時、机の上に何かが光った。
赤井さんからもらったネックレスだった。

捨てなきゃ…
そう思って握りしめて、ゴミ箱に振りかざした。
でも、どうしても捨てられない。

…いつか、捨てられる時が来るまで持っておこう。
そして、捨ててもいいって思えたらその場でいつでもすぐに捨てられるよう持ち歩こう。

そう思い、アクセサリー用の小さな巾着に入れて上着のポケットにしまった。


トランクを引いて、零の家に向かう途中、こないだ連れてきてもらったヘアサロンの前を通った。
わたしは、予約もせず気付いたら自動ドアの前に立っていた。


「あれー?安室さんの…」


そう言ってわたしに気付いたのはこないだ髪をセットしてくれた美容師だ。


「あの、髪を切りたくて…」

「次の予約、あと1時間後なんでいいっすよ。どうぞ」


そう言われてわたしは鏡の前の椅子に座った。


「どのぐらい切ります?」


美容師さんが後ろから、わたしの髪を触りながら言う。
胸あたりまである長い髪。

思い切ってショート…いや、ショートにしたことないし…そう悩んでいると、美容師さんが提案する。


「じゃあ、鎖骨あたりまでにしときましょう。
それでもだいぶ、印象変わりますよ」

「…じゃあそれで。」


そして、ハサミがわたしの髪に入り、
ジャキッと音を立てた瞬間、はらりと落ちた。

赤井さんはよく、わたしの髪を撫でながら匂いを嗅いで、この髪が好きだと言ってくれた。

さよなら。赤井さん。
これでもう、思い出さない。


ジャキ…ジャキッ…と音がして髪が落ちるたびに、赤井さんとの思い出が全部はらはらと手のひらから滑り落ちていく。

サヨナラ…
嫌と言うほど覚えてる。

もうきっとあんな恋はできない。
大好きだった。

本当に、好きだったよ…


そしてわたしは、世界で一番愛しい人を、
忘れる決意をした。


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