【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第4章 しるし☆
「まったく。子供達より先に怪我をしてどうするんですか」
そう言いながら、沖矢さんはわたしの怪我した手を取り、救急箱を開けた。
「自分で出来るよ…」
「何を考え込んでいたんです?」
わたしの言葉なんて完全スルーで、沖矢さんはわたしの手にできた小さな傷を大事そうに手当てしてくれる。
「…あの…コナンって子、何者なの?」
「…頭がキレるただの子供だろう」
核心をつかれたからか、思わず赤井さんの口調になってること、気付いてないな…
「昔、あの組織と関係があった時、ある男から探偵を薬で殺したって聞いたことがあるの。」
ピクッと沖矢さんの手当てする手が一瞬止まる。
「あの薬は、毒じゃなくて別の目的で作ってるって聞いたことがある。
それを…飲まされたのが…」
「その、ある男とは、誰です?」
「え…?」
気付くと沖矢さんの片目が開いていて、こちらを睨むように見ていた。
初めて会った時に見せた表情みたいだ。
ジン という名前を口に出したくなかったのと、何となくジンのことを話さない方が良いと本能的に思って、わたしは目を逸らして笑った。
「…忘れちゃった。結構前のことだから。」
「そうですか…」
そう言って沖矢さんはわたしの頬に手を添えた。
だんだんと彼の顔が近づいてきて、わたしは思わず口を開いた。
「ダメ…だよ。窓あるし庭から見えちゃう…」
「本当にダメ…?」
「だ…め」
口ではそう言っても、わたしは沖矢さんを振り払えない。
ゆっくりと唇が近づいてきて、唇が重なる一瞬前、庭から沖矢さんを呼ぶ声がした。
「昴さんー!!ちょっと炭を炊くのを手伝ってくれんかのおー?」
阿笠博士の声に2人してピクッと反応して、顔を見合わせると、沖矢さんははあっとため息をついてわたしから離れた。
「仕方ない。行きますか」
「そ、そうだね…」
キス、されるかと思った…。
残念そうにしているわたしを見透かすかのように、沖矢さんはわたしの手を引き、耳元で囁いた。
「楽しみはお預けということで」
かあっと顔が熱くなるのを見て、クスッと笑うと沖矢さんは庭の方へ戻って行った。
「もう…!!!」
わたしは赤くなった顔が元に戻るのを待ってから遅れて庭へと向かった。