【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第24章 思い出せなくなるその日まで ♪
試着室のドアを開けると、安室さんが微笑みながらこちらを見た。
「うん。似合ってるよ」
「でしょー?わたしの見立ては間違いないわよ?」
「いや、これ着てどうするの…」
とりあえず着てみたけど、その後これどうするのか全く理解が追いついてない中、安室さんがわたしの手を引いた。
「じゃあ、行こうか」
「え?!待って、これ脱がないと!」
「そのままで大丈夫ですよ」
「え?!」
「君が試着室に入ってる間に支払いましたから」
「待ってそんなのダメだよ!」
そう言うわたしをまたRX-7に乗せ、安室さんは車を発進させた。
「こんなの、全然お礼になってない…」
わたしが安室さんにお礼をするどころか、わたしが安室さんにプレゼントされるなんて。
「君とこうして2人でいられるだけで、お礼になってるんですよ」
安室さんは、優しいね。
そして、こんなドラマみたいなサプライズ、世の中の女の子全員が、きっとわたしのことを羨ましいって言うに違いない。
こんなに優しくしてくれるのに、それでもわたしは隣にいるのが赤井さんだったらって思ってしまう。
最低な女だ。
自己嫌悪に陥っていると、車はヘアサロンに到着した。
表参道の一等地にあるヘアサロンは、服だけオシャレで顔と髪は寝起きのわたしが浮きまくってる。
「あれ?安室さんー!どうしたんっすか?」
安室さん、一体その人脈はどこから作ってるの…
カリスマっぽい美容師が安室さんと仲良く談笑しているのを、わたしはじーっとみながら思う。
「この子を、もっと可愛くしてほしいんだけど」
安室さんはそう言ってわたしの肩を持ちながら言う。
「お安い御用っす!じゃあこちらへ!」
「え!?」
またまた手を引かれ、鏡の前の椅子に座らされたわたしに、美容師さんが髪を触れる。
「髪は十分綺麗だから、そのままコテで巻こうか。
メイクは、肌がブルーベースだからピンク系が映えるね」
そう言いながら、わたしの髪をコテで挟んで神業みたいに巻く。
プロの手捌きにほーっと感動していると、別の人がわたしの顔に基礎化粧品と下地を塗りたくる。
目を閉じて言われるがままされるがままでいると、少しして
「完成」
と言われて目を開けた。
そこには綺麗にメイクアップされた自分の顔がある。