【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第23章 さよならとたった一言で
プラネタリウムから出て遊歩道を一周すると、夕日がもう傾いていた。
タイムリミットが思った以上に早く近づいて来ていて、俺は往生際悪く思う。
時間が止まればいいのに。
サラにさよならを言うのが、こんなに怖い。
それでも、この先サラを危険な目に合わせる方がもっと怖かった。
ここ数日、ずっと考えていた。
俺は、サラを幸せにしてやれない。
それどころか、傷付けて俺のせいで危険な目に合わせてしまう。
前からずっと感じていた。
サラは俺のことになると途端に弱くなる。
そして、無理をして笑う。
俺に心配させないように、取り繕った笑顔で。
そんな顔をさせている俺自身が許せなくて、それでもサラに触れるとそんな不安は全部吹き飛んだ。
そうやってずっと、気付かないふりをしていたのかもしれない。
あの時、俺があいつを見つけなければ、あいつはもしかしたら今は普通にどこかで働いて、誰かと出会って、普通の恋をしていたのかもしれない。
あいつが何より望んでいた普通の生活を奪っているのは俺だ。
そう思った時、俺にできることは一つしかなかった。
そしてその選択肢を夕陽が全て飲み込んでしまいそうなゴンドラの中でサラに伝えた。
「別れよう」
傷付いた顔を見るのが怖くて、サラの方を見れなかった。
卑怯な男だ。目を逸らして別れようと言う。
どうして?と聞かれると、俺ははっきり、お前は邪魔だからと言った。
俺のことを嫌いになればいい。そう思いながら、サラが傷付きそうな言葉を並べた。