【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第23章 さよならとたった一言で
プラネタリウムは俺も久しぶりだった。
だが昔見たプラネタリウムのような「星の説明」というより、もっと壮大な話のプログラムで、宇宙とは。そして地球はどうやってできたのか。
星はそんな歴史をずっと光って見ているということ。
そして、その流れゆく時間の中で、この地球上にいる人類75億超の中から、今隣で一緒に星を見上げている人と出会ったのは奇跡だと。
そうだな。
もともと敵対関係にあった俺とサラが出会ったのも、時間が流れて再会して、俺がサラを好きになって、サラも俺を好きになった。
数学的に見ると奇跡以外の何者でもない。
満天の星空を見て思った。
俺はこの奇跡を棒に振ってでも、サラの幸せを願っている。
サラが毎日笑って平和に安全に生活できるなら、他には何もいらない。
俺の幸せなど、無くていいんだ。
俺の席とサラの席の間にはひとつの肘掛けがあって、
サラはずっと手を繋ぎたそうに肘掛けに手を乗せていた。
俺はそれに気づいていて、いつもならすぐに手を握ってやるのに今日はどうしてもできなかった。
きっともう、手を握る資格はない。
この小さくて、細い指も好きだ。
何度も指を絡めて、自分との手の大きさの違いに可愛いなと思ったりした。
もう二度と握れないこの手を、守るためなら何でもする。
たとえ、永遠にサラに会えなくても。
そう誓いながら、俺は星空を見上げた。