【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第23章 さよならとたった一言で
世界でいちばん大切なサラが泣いている。
なのに俺は涙を拭ってやることすらできない。
何ひとつ、お前にしてやれなかった。
これ以上、俺のせいで傷付くサラを見たくない。
ゴンドラは幸いにもゴールへと戻ってきていて、俺はサラを置いて、ゴンドラを足早に降りた。
「じゃあな」
その言葉だけ置いて
サラは俺の背中を掴もうと、泣きながら必死に手を伸ばした。
「別れたくない」
何度もそう言いながら、俺に縋ってくる。
何度もその手を握りそうになるのを必死に抑え、
俺は眉を顰めて目を閉じると、そんなサラを置き去りにした。
一番大切な女を、守るにはどうすればいいか。
そのシンプルな答えは
俺に関わらないこと
これでいいんだ。
これで、いい。
お前が、安全に平和に生きてさえいてくれれば、それでいい。
お前を守れず殺してしまうぐらいなら、俺が守らなくてもいいぐらい、安全な場所で生きて欲しい。
俺のいない日常で、幸せになってくれればそれでいい。
俺は一度も観覧車に振り返ることなく、その場を後にした。