【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第23章 さよならとたった一言で
繋いだサラの手を見る。
細い指に小さな手のひら。
俺と似て、冷たい手。
初めて手を繋いだのは、出会ってすぐの頃、銀行強盗をめちゃくちゃに倒して、警察から逃げる時だったか…
あの時は、まさかこいつをこんなに愛することになるとは思わなかった。
そして、今日は最後に手を繋いだ日になる。
「サラ」
「なに?」
「いや、呼んだだけ」
「なーに?それー!」
サラの名前を出来るだけ多く呼びたくて、サラに呼びかけては何でもない。の繰り返し。
今日が終わると、もう二度と呼べないから、今日だけは俺の大好きな名前をたくさん呼びたい。
水族館を出ると、併設されているプラネタリウムの方を見ながらサラが言った。
「プラネタリウム…」
「これも行ったことないのか?」
「ずーっと昔、まだ小さい頃に家族で行った記憶が少しだけある」
サラはそう言いながら、懐かしそうに目を細めた。
俺はその顔を見て、心が痛んだ。
サラの心の傷をえぐるようなことを俺は今日、やろうとしているから。
ぼーっと遠くを見ていると、サラが俺の顔を覗き込んで言った。
「ね、プラネタリウム、入りたい」
俺は、待ってろ。とだけ言うと受付でチケットを買ってきて、サラに手渡した。
ちょうどあと10分後にプログラムが始まるようで、俺たちは足早にプラネタリウムの中に入った。