【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第23章 さよならとたった一言で
ゴンドラが、終着点に戻ってきた。
赤井さんは、わたしからまた目を逸らして、立ち上がりながら背を向けた。
「じゃあな。」
まるで崖に立たされてるみたいに脚がすくむ。
ぐにゃぐにゃと歪む空間に放り出されたような恐怖感。
赤井さんが行っちゃう…
わたしの方をひと目すら見ず、目を逸らしたまま赤井さんがゴンドラを降りようとしている。
待って…行かないで…
いやだ…いやだいやだ。
「やだ!待って…!やだよ!
赤井さん!別れたくない!行かないでよ…」
わたしは取り乱して、必死にすがって、ゴンドラを降りようとする赤井さんを掴もうと、手を伸ばしたけど届かなくて、1人ゴンドラに取り残され、観覧車は2周目に入った。
「どうして…」
わたしはその場で泣き崩れた。
どうして?そればかりが頭の中でこだまする。
そして別れようと言われた場面が、何度もフラッシュバックする。
「赤井さん…」
側には、バッグから飛び出した赤井さんへのプレゼントが転がっていた。
わたしは、赤井さんが居ないと、まっすぐ立って歩くことすらできない。
生きていけない。
ひとりにしないでよ…
目を閉じると、赤井さんの優しい眼差しが浮かぶ。
いつもわたしの胸を撃ち抜いてきた瞳。
耳を澄ますと、赤井さんがサラって呼ぶ声が聞こえる。
わたしの大好きな低くて甘い声。
匂いを嗅ぐと、あのタバコの匂いをすぐに思い出せる。
手の温度も唇の感覚も、抱きしめられる時の強い力も…全部、全部たしかにここにあったのに。
なぜ?