【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第23章 さよならとたった一言で
星の説明というか、ドキュメンタリーみたいな内容のプログラムだ。
星は何年も前からずっと宇宙で輝いていて、何人もの人を同じ場所から見てきた。
その流れゆく時間の中で、この地球上にいる人類75億超の中から、今隣で一緒に星を見上げている人と出会ったのは奇跡だと。
そうだね。
こんなに無数の時間の中、たくさんいる人の中で出会って、恋に落ちて、こうして隣で星を見上げているのは、奇跡だ。
あの日、赤井さんに見つけてもらったあの日から、わたしは赤井さんと一緒にたくさんの奇跡を見てきた。
おはよう。おやすみ。と言えること
朝ご飯のあたたかさ
買い物に行ったり、遊園地に行ったり、何気ない日常
気持ちがすれ違うつらさも、
気持ちが通じ合った喜びも、
触れられた時の心地よさも、
キスの甘い味も、
好きだと言う時の、あの瞳も、
手を繋ぐぬくもりも、
身体を重ねたときの幸せも、
「愛してる」と言う言葉も。
全部、全部、赤井さんがわたしにくれた奇跡だ。
ねぇ、赤井さん。
これからも、ずっと奇跡のような時間を積み重ねて行けるよね?
数えきれない幸せを紡いで、手を繋いで歩いていけるよね?
わたしは、何も無いから。
赤井さんに愛されていると言うこと以外、誇れるものも、存在価値も無いの。
あなたに出会って、10歳で止まったわたしの幸せは、またゆっくり動きだした。
赤井さんがわたしの名前を呼んでくれるのが嬉しくて、そばにいてくれるのが嬉しくて、「好き」って言ったら「俺も」って言ってくれるのが嬉しくて。
そう思いながら星空を見上げていると、目から涙が溢れた。
これは何の涙なのか、自分でもわからない。
お願い。
ずっとずっと隣にいて欲しい。
わたしのくだらないわがままなんて、いちいち相手にしなくていいから。
せめて、ずっと一緒に。
永遠を心の中で願いながら、わたしは肘掛けに手を置いて、手を繋いでくれるのをずっと待っていた。