【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第23章 さよならとたった一言で
すぐに赤井さんの声だと分かり、後ろを振り返ると赤井さんが素顔のまま立っていた。
「え…ど、どうしたの?
顔出して大丈夫なの??」
「あぁ。問題ない。
今日が最後だからな。」
「最後って、何が?」
「…ふ。じゃあ、行くか。
まずは水族館か?」
わたしの疑問は笑って誤魔化して、赤井さんはわたしの手を取ると水族館に向かって歩き出した。
赤井さんらしくない笑い方に違和感を覚えたけど、手の繋ぎ方は変わってなくて、ホッと胸を撫で下ろした。
「うわぁ…綺麗」
真ん中に大きな水槽があり、そこにたくさんの種類の魚が泳いでいる。
「サメもいるのに、あんな小さい魚も同じ水槽にいるよ!
食べられちゃったりしないのかな」
水槽に釘付けになりながらそう言うと、赤井さんはククッと優しく笑った。
「小学生か?お前」
良かった。
いつもの赤井さんだ。
様子がおかしいと思ってたのは気のせいかも。
「じゃあ、どうして一緒の水槽にいるのに食べられないのか知ってるの?」
ムッとしてそう聞くと、赤井さんは水槽の方を眺めながら言う。
その横顔が、綺麗でかっこよくて、わたしは彼と付き合ってもう随分経つのに未だにときめいてる。
「腹がいっぱいだからだよ。
それに、無理してあの小魚を追いかけて食っても疲れるだろ?
餌を待っていた方がコスパがいい」
「ほぉー!そうなんだ…!なんか、頭良くなった気がする…」
いつの間にか、赤井さんの口癖がわたしにうつってる。
それぐらい一緒にいて、同じ時間を過ごしてきたんだ。
「お前は、可愛いな。
本当に」
ひとしきり笑ったあと、赤井さんはじっと目を見てそんなことを言う。
そういうのは、2人きりの時に言って欲しい。
そしたら、わたしが赤井さんに抱きついて、キスして、ずっと離さないのに。
「ほら、次行くぞ」
「あ、うん!」
そう言ってまた赤井さんは手を差し出してくる。
きっと今日のクリスマスは一生忘れられない一日になる。
そう思いながら、わたしは喜びながら赤井さんの手を握った。