【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第22章 終わりの歌 ♪
「犯人は…」
「ジェイムズさんたちが対応してくれてるよ。
とりあえずサラはもう何も心配しなくていい」
「そう。」
サラは後部座席の隣に座る俺を横目で見た。
俺はずっと窓の外の景色を見ている。
今回無事だったのは、偶然だ。
俺は結局何もできなかった。助かったとはいえ、サラに史上最大の恐怖を味わわせてしまったのは事実だ。
また次同じようなことがあったら。
そればかり考えていた。
ふとサラの方を横目で見てみると、濡れた髪に手首には鎖の跡がくっきりついている。
そして、まだ寒いのか身体を小刻みに揺らしている。
どうして、こんな目にあわせてしまったんだ。
俺は目を閉じて、自分を戒める言葉ばかり頭に浮かべていた。
家につくと、サラはすぐにシャワーを浴びた。
俺と安室くんは、サラが出てくるのをリビングで待った。
お互い、言葉をかわすことはなく、気まずい空気だけが流れる。
「…ありがとう。」
「え?」
「サラを助け出してくれて、感謝している」
「…あなたに礼を言われる筋合いはない。」
安室くんは俺をにらみながらそう言った。
まるで、お前のせいでサラはひどい目にあったんだ。と言いたいような目をしていた。
サラがシャワーからあがると、安室くんはサラの様子を見て安心したような顔をして
「じゃあ、僕は今日は帰ります。
サラ、明日のバイトは僕が代わるから。
ゆっくり休んで」
「うん。
ほんとにありがとう…安室さん」
「無事でよかった。
おやすみ」
そう言って安室くんは、ぽんぽんとサラの頭を撫でると、マンションから出ていった。
シン…と部屋に沈黙が流れる。
サラがあんなに怖い思いをしたというのに、こんなときなんて言葉をかけてやればいいのかすらわからない。
そんな空気に耐えかねて、サラが笑いながら言う
「ごめんね。心配かけて…」
まただ。また、張り裂けそうな笑顔で笑う。
俺は思わずサラを抱きしめた。
けれど、サラが無事だった安心感は皆無で、申し訳なさと罪悪感と、自分への苛立ちだけが残った。