【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第22章 終わりの歌 ♪
赤井side
サラが閉じ込められている水槽に弾丸を撃ち込んだとき、犯人が逃げるのを目撃した。
犯人を見つけたとき、俺は我を忘れた。
サラを救出するよりも、犯人を捕まえて力任せに何度も何度も殴った。
殴りすぎて、自分の拳から血が出ていても構わずに拳を振り下ろしていた。
以前、ジンと対峙したときはもう少し冷静に立ち回れたんだがな。
今回の自分の余裕の無さに驚きを隠せないでいる。
散々殴ったあと、顔の形の変わった男は俺に言う。
「俺を殺せ」
俺はその言葉のとおりに、男のこめかみに銃を突きつけた。
死ね。そう思いながら、引き金を引こうとしたとき、不意にサラの匂いが香った。
気づくと、サラが俺を身体全部で止めている。
ビショビショに濡れた氷みたいに冷たい身体で、俺を必死に抱きしめた。
「サラ…」
俺はサラが生きている喜びよりも、サラをこんな目に合わせた自分への怒りが拭えず、サラの身体を抱きしめ返すこともできなかった。
「サラ…とりあえず服を脱いでこれを。
このままじゃ凍死するぞ」
安室くんがそう言いながら、自分の上着をサラにわたす。
「ありがと…」
サラは安室くんからダウンジャケットを受け取ると、水浸しになった服をその場で脱いだ。
安室くんはぱっと後ろを向いて、サラが着替え終わるのを待っている。
「とりあえず、早く帰って風呂に入って身体を温めよう。
…赤井さんもいきますよ」
「ああ…」
安室くんが俺とサラを車に乗せて、サラの家へと戻った。