【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第22章 終わりの歌 ♪
最悪だ…わたし、守ってもらうような女の子じゃないとか言っておいてこのザマ…
平和ボケしている証拠だ。
スタンガン当てられるまで、怪しいとも思わなかった。
「起きたか」
そう言って部屋のドアが開けられた。
立っていたのは、ピエロのマスクを被った男。
まるで水槽の中の金魚を眺めるみたいに、アクリル板越しにわたしを凝視する。
「あなた誰?
何のためにわたしを攫ったの?」
「…ふ。威勢がいいな。
普通なら泣き叫ぶところだぜ?
…さすが、あの男の女だな」
あの男って…?!
沖矢さん?…いや、たまに赤井さんの姿で一緒に車に乗ったりしていたから、赤井さん…?
まさか、京都で誰かに見られていた?
「これ外してよ。」
「駄目だ。
この後のショーで必要だからな」
「一体、何が目的なの?」
「ふ…それはいずれわかる。
さて。時間だ」
ピエロの男はそう言って、パソコンを取り出した。
そして、天井に取り付けられたカメラがわたしの方へ向いた後、PCに向かって話し始めた。
わたしはその男と話すのを諦め、鎖の音をジャラジャラと響かせながら、アクリル板をぶち破ろうと何度も体当たりしたが、無駄なようだ。
鎖で繋がれた部分が擦れて赤くなってる。
せめてロープにしてよね…
鎖、痛いんだから…
腕は使えないし、蹴破ろうとしても鎖がひっかかって脚が上がらない。
これは自力でなんとかするのは厳しいな…
無駄に体力を使わない方がいいかも。
そう思い直して大人しく水槽に座り込んだ。