【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第20章 No way to say ☆ ♪
安室さんの車で、家の前まで送ってもらった。
「立派なマンションですね」
「まあ、わたしが契約したんじゃないんだけどね」
そう言いながらわたしは車を降りようとしたとき、安室さんがわたしの手を掴んで呼び止めた。
「待って」
「ん?」
「これ、引っ越し祝いです」
そう言って安室さんは、わたしに紙袋を手渡した。
「なに?…開けていい?」
それを受け取って中身を見ると、中にはリップスティックが入っていた。
「何で、引っ越し祝いに口紅?」
「貸して」
安室さんは理由を言わずに、わたしからリップを取り上げると、中身を出してわたしの顎に手を添えた。
「動かないで」
そう言われて、ビクッと身体を強張らせていると、安室さんがわたしの唇にリップを引いた。
「ん…似合ってる」
「え…あ…」
「少しはドキドキしてくれましたか?」
「そ、そりゃ…」
男の人にこんなことされたら誰だってドキドキするでしょ!
わたしはいつもの調子が出なくて、顔を赤くして俯いていると、安室さんはわたしの頭を撫でて言った。
「おやすみ。またご飯行きましょう。
その時、それつけて来てください」
そう言われ、わたしはとりあえず微笑むと車を出て、RX-7が走り去るのを見送った。
安室さん、こんなことしてたらそりゃ安室さんを好きになってしまう女の子続出しちゃうよ…
不意にポアロの常連の安室ファンのJKたちの顔が浮かんで、ぶるっと身震いした後、わたしはマンションに戻った。