【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第20章 No way to say ☆ ♪
赤井side
朝、きっとまだ寝ているだろうと思い、俺はサラに電話をかけた。
電話は2コールで受話器があがり、サラの可愛い声がした。
この電話で起きたんだろうと思っていたが、そうではなかった。
ちゃんと早起きして、朝ごはんの準備をしていると言う。
ホッとしたような、何となく寂しいような気持ちになった。
サラが自分無しでは生きられなくなればいいと思っている自己中心的な男だ。
離れてもすぐ会いたくなるのは、少しでも声が聞きたくなるのは俺だけなのだろうか。
「バイト何時までだ?」
「夕方までだけど…」
「なら今日の夜、外に飯でも食べにいくか」
サラはきっと、行きたい!と声を明るくして言うのだと思っていた。
けれど、とても気まずそうに俺に言う。
「ご…めん。今日は梓さんと約束してるの」
それなら仕方ないが、そんなに申し訳なさそうに言うな。
俺は 夜電話するよと言って、電話を切った。
住む場所を別々にしただけで、こうも不安定になるものか。
俺たちの関係は、今にも抜けそうな床をゆっくり慎重に歩いているみたいに、脆かった。