第19章 pure ☆

わたしがシャワーを浴びて、バスローブ1枚着た状態で部屋に戻ると、入れ替わりで赤井さんがシャワーに入った。


赤井さんが戻ってくるまでの間、赤井さんが借りてくれたこの広くて豪華な部屋を見渡し、バルコニーに出て夜景を眺めた。


あのマンハッタンの夜景よりも、こっちの夜景の方が断然綺麗だ。

あんなに好きだったタクミの、髪の触れ方やキスの仕方なんかも、全部もうぼんやりとしか思い出せない。

人ってつくづく薄情だね。
新しい恋を見つけた途端、前の恋があっさり霞む。
赤井さんも、そうなのかな…
わたし以外の女の子を愛した記憶、霞んでるのかな…？
そうだといいな…


そんな取り留めないことをぼんやり考えていると、後ろから赤井さんがわたしを捕まえた。


「サラ…」


名前を呼ばれると、心臓がきゅんと軋む。
そしてわたしは絞り出すように赤井さんに言う。


「…赤井さん。
わたし、赤井さんが、大好き」

「…知ってる」


赤井さんは笑ってそう言った。
そして、わたしを抱き上げるとベッドに優しく下ろした。

ふかふかのキングサイズのベッド。
だけどこのベッドは広すぎる。
いつも一緒に寝てるセミダブルが、ずっとくっついておきたいわたしにはちょうどいい。