【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第19章 pure ☆
赤井side
まったく、死ぬかと思ったぜ。
これで死者がキュラソー1人とは、奇跡だ。
そして、それを起こしたのは間違いなくあのボウヤ。
さて、サラのところへ帰るか。
任務の後に、帰ろうと思える場所が出来たことを、今初めて自覚した。
これまでは、次の任務へすぐに頭を切り替えていた。
そうやってずっと精神をすり減らしてきた。
だが、今は違う。
帰りたいと思える場所がちゃんとある。
足早に駐車場の方へ向かった。
あの観覧車の銃撃戦で、身体はボロボロ、顔も煤だらけで、オマケにライフルの暗視スコープはお釈迦になった。
ついでにライフルバッグは爆弾を詰められて外で爆発。
俺は今丸腰でライフルを持っている。
夜で、しかもさっきの大混乱で明かりはほとんど消えていて、人々は他人を気にしている余裕などなさそうだ。
不幸中の幸いだな。
そんな格好で駐車場の中を走り、マスタングを停めた場所を探した。
一際目立つ、赤い車体。
あったあった。
そう思いその車体に近づくと、車のすぐそばにサラが立っていた。
マスタングの隣にくっついて、でも観覧車の方をずっと心配そうに見ていて今にも駆け出しそうなのを必死に我慢しているように見えた。
「サラ」
後ろから声をかけると、サラは驚いて振り返った。
顔は涙で濡れていた。
「…外に出るなと言っただろ?」
「赤井さん…」
サラは俺を見るなり、ボロボロと涙をこぼして俺に駆け寄ってきた。
そして、抱きついてくるのかと思いきや、俺の胸ぐらを掴み、グッと下に引いた。
「?!」
驚いてサラを見ると、斜め下からサラの唇が俺の唇に重なった。
サラからこんなふうにキスをしてくるのは珍しい。
ゆっくりと唇を離すと、サラはボロボロと泣きながら言った。
「心配したよ…ッ
…すっごく、すっごく心配した!バカ!」
俺の身体をドンと叩きながらそう言うと、サラは俺にしがみついた。
「…俺は、心配する要素ないんじゃなかったのか?」
「…そう思ってたのに。ばか…」
「馬鹿はお前だ」
俺はそう言うと、こっちを見るサラにキスをした。
サラが何か言おうとしているのをキスで塞ぐのが、俺の癖らしい。