【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第19章 pure ☆
そのとき、車がドリフトして、ギュルルルというタイヤの音が耳に響いた。
突然やってくる遠心力にわたしの身体は車の端へと追いやられる。
その拍子に、ゴンッと車の側面におでこをぶつけた。
「いたっ!」
キュラソーの車、安室さんのRX-7、赤井さんのマスタングに抜かれた大型トラックが、後ろの方で大破する音が聞こえ、わたしは後部座席足元に隠れたまま、このド派手なカーチェイスに死さえ頭によぎった。
「し、死ぬ…」
そんなわたしなんてお構いなしで、赤井さんはアクセル全開で前の黒い車を追いながら、安室さんのRX-7にぶつかる。
ドカッという鈍い音がしたあと、安室さんの声が聞こえてきた。
「下がれ赤井!奴は公安の獲物だ」
「…」
「ちょっと赤井さん!
喧嘩してる場合じゃないでしょ!
あぁ…2台とも高級車なのにボッコボコ…」
わたしは後部座席から頭だけひょこっと出して小声で赤井さんに訴えるが、赤井さんはガン無視。
さらに、前を走るキュラソーの車が、並走していた一般人の乗用車を車体の側面を使って追いやり、そのままその乗用車はホップして大きく宙を舞った。
「ひぇ…」
スローで宙を舞う乗用車にわたしが思わず声を漏らすと、安室さんと赤井さんは車を全く同じ軌道に操作し、その乗用車を間一髪で避けた。
そして遠くの方でその乗用車は道路に墜落し、大爆発の末大炎上。
「…絶対死んでるよあれ…」
わたしがあんぐりと口を開けながらそう言うと赤井さんも流石に気になったのか後ろをちらりと見てまたすぐ前を向いた。
そして、相変わらずキュラソーの車を追おうとするのかと思いきや、車体を道路に横向きに急停車した。
「痛ぁ!」
急ブレーキをかけられ、わたしの身体は思いきっきり前のシートに激突し鼻を強打。
赤井さんとなら普通のドライブでも特別な日になる。なんて冒頭で言ったけどとんでもない。
マジで死ぬかと思ったんだから。