【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第19章 pure ☆
もう、それ以上考えられなくて、赤井さんのくれるキスに夢中になって答えてると、通りを挟んだ向こう側からけたたましい大きな音がした。
「えっ!なに?!」
わたしが思わずそちらを見ると、赤井さんもわたしにキスをするのを辞めた。
見ると、ある人間が車を奪って逃走したようだ。
赤井さんは、何が起こったのか確認すると、即座に車を発進させた。
「追うぞ。あの車」
「え?!な、何なのあの人」
「…おそらく、例の組織の諜報員だ。」
「え…」
車を大急ぎでバックさせ、またアクセルを全開に蒸し、
ハンドルを片手で操作しながら赤井さんが言った。
わたしは思わず驚いて固まってしまう。
さっきまであんなに甘いキスを交わしていたのに、たった今、危険なカーチェイスの幕開けだ。
「コードネームはキュラソー。知っているか?」
「…一度、一緒に仕事したことある。」
「ホォー。」
「と言うことは、警察から何かの情報が盗まれたってこと…?」
「恐らくな」
そう言って赤井さんは高速道路に走る車を右、左、右と、どんどん抜かして行く。
そして前に見えたのは 白いRX-7
「あ、安室さんの車じゃない?」
「…」
赤井さんは何も言わずに安室さんの白い車の後ろにピッタリと車をつけた。
追う対象は安室さんの前を走っている。
安室さんの右ハンドルから、ちょうどマスタングの車内が見えそうになった時、わたしはハッとあることに気づいた。
「…ちょ、ちょっと待って。赤井さん!」
「何だ。気が散る」
「まずいよ!
わたし安室さんには沖矢さんと付き合ってると思われてるんだよ?」
どう考えても、安室さん目線だと赤井さんの車にわたしが乗ってるっておかしい。
そう言うと、赤井さんはしばらく固まったあと、ぽろりと言葉をこぼす。
「…あ。」
「あ じゃないでしょ!」
わたしは慌ててシートベルトを外すと、助手席から後部座席へとよじよじ移動した。
と、とりあえず見つからないように隠れよう。
そう思い、シートベルトは諦め、後部座席の足元に縮こまって隠れた。