【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第3章 甘い罠 ☆
そして、今度は20発。華麗に全て的に当てる。
「2回分やる意味ないじゃない」
哀ちゃんが呆れたようにそうこぼす。
「すっげーーー!!フィギュア2つぶんだ!!いいなー光彦!」
光彦くんに景品を渡しながら、
沖矢さんはわたしの方を見て満足そうにフンッと笑った。
その瞬間、わたしの闘争本能にも火がつく。
悪いけど、射撃では絶対負けない。
「コナンくんも欲しいよね?仮面ヤイバー!」
そう言って、コナンくんのYESを聞く前に半強制的に店員さんに2回分の料金を渡し、同じように弾を20発受け取ると、
間髪入れずに今度は後ろの方の動く的に全弾命中させた。
店員さんの顔色がどんどん悪くなる。
いつのまにかギャラリーが集まってきて、周りが騒がしい。
「おい見ろよ。あのカップル、どっちも20発当ててるぞ」
「すっげえ。」
わたしも気分が良くなって、沖矢さんの方を見ながら、フフッと挑発的に笑ってみせる。
「悪いけど、射撃は得意なの」
その態度にカチンと来たのか、沖矢さんは店員さんに次は3回分のお金を渡し、30発弾をこめた。
「景品無くなっちゃう…」
と嘆く店員さんに、わたしも負けじと3回分のお金を払う。
沖矢さんがこれまた見事に30発綺麗に当てた後、
わたしも30発当てて行く。
「…なんか、カップルというより敵に見えるんだが。」
「めちゃめちゃ張り合ってるな…」
「もう景品ないです…」
ギャラリーがざわつき、店員さんは泣き、子供達の目がキラキラして、コナンくんと哀ちゃんは呆れた顔をしてジトーッとこちらを見てくる。
結局決着はつかず、射的コーナーにあった景品を全部持って帰る羽目になってしまった。
「まったく。こんなに景品取っちゃって、帰りどうするのよ。ただでさえ車のなか定員オーバーなのに」
「しゃーねぇ。博士に迎えに来てもらおうぜ。」
そう言ってコナンくんは博士にメールを送る。
「ごめんね。つい、ムキになっちゃった」
群れからはぐれてスマホを触るコナンくんに、わたしは申し訳ございませんと頭を下げると、驚きの返事が返ってきた。