【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第18章 Call my name
赤井side
有希子さんはたまにワザと空気を読まない。
読めないのではない。読まないんだ。
さっきもそうだ。
ああ言うと、必ずサラは後で俺の部屋に来る。
それを見越して俺がヤキモチを焼いていると囃し立てた。
コンコン
部屋のドアがノックされた。
ほら、思った通りだ。
「赤井さん」
ドアの向こうからサラの声がする。
俺の機嫌を取りに来たんだろう。
何となく癪に触り、無視してやろうとも思ったが、そこまで出来るほど俺は辛抱強くなかった。
ガチャリとドアを開けると、風呂上がりのサラが酒のボトルを持って立っていた。
「赤井さんの好きなバーボン持ってきたよ」
そう言って笑うサラは、天使なのか悪魔なのかどっちなんだ。
バーボンって言われると安室透の顔がポンッと出てくる。
そっちのバーボンなら別に好きじゃないんだが。
そして引っ掛かるのが「赤井さん」
今日までは全く気にもせず、何ならサラが赤井さんと呼びかけてくれるのが嬉しくて仕方なかったのに。
サラは半ば強引に部屋の中に入ると、俺のベッドの上に座ってグラスに酒を注いだ。
こんな風に、俺の部屋で俺のベッドで酒を飲むのはもしかしたら今日が最後かもしれない。
あと数日したらサラはこの家から出て行く。
そう思えば思うほど、さらに焦燥感は増していく。
「やっぱ夜のお酒は美味しいね」
そう言って笑いかけてくるサラがたまらなく可愛くて、結局俺はサラに敵わないんだ。
俺は気付いたらサラを抱きしめていた。