【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第18章 Call my name
あと数ミリ、わたしが一歩でも動けば唇が重なる。
そして、多分角度的に沖矢さんから見るとキスしているように見えるかも。
わたしが放心状態でいると、比護さんはわたしの頭をポンポンと撫でて言う。
「はい。撮影はこれで終わり。」
「えっ!あぁ。そっか」
なんだ。撮影のための行動…びっっくりした。
さすがモデル。
不覚にもドキドキしてしまった。
恐る恐る哀ちゃんの方を見ると、哀ちゃんはうっと涙を目に溜めながら方針状態でこちらを見ている。
ああ、これはやっぱり完全完璧に嫌われたな…
赤井さんの元カノの妹と、ただでさえややこしい関係性なのに、その上彼女の推しとこんなことしたんだもん。
さらに哀ちゃんと接するのが気まずくなるなあ…
はあーっとため息を付きながら今度は沖矢さんの方を見ると、
腕組をしたまま、じーーーっとこっちを見ている。
あっちはあっちで、笑顔なのが逆に怖すぎる。
コナンくんが、その空気を変えようとワザと子供っぽくこっちに走ってきた。
「わーー!お姉さんやっと終わったねー!!」
それを皮切りに、他の子供達もわーっとこちらに集まってきた。
子どもたちから少し遅れて、哀ちゃんと沖矢さんもゆっくりとこっちに近づいてくる。
「いやー。ほんと助かったよ。
出来上がった雑誌は自宅まで送るから」
スタッフの人が近寄ってきて、わたしにとりあえずお礼と言いながら、菓子折りをわたしてきた。
そして、雑誌の送り先の住所を書いてくれと手帳とペンを手渡してくる。
「あ…ちょっと住所教えるのは…」
今のわたしの立場上、住んでるところを軽はずみに他の人に教えるのははばかられる。
そう言うと、隣で聞いていた比護さんが、こんな提案をしてきた。
「じゃあ、出来上がったら俺が直接渡すよ。
サラ、連絡先教えて?お礼もしたいし」
「なんだかんだ、楽しかったしお礼は大丈夫だよ。
それに、雑誌は買えばいいし」
そう言ってやんわりと断るわたし。