【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第18章 Call my name
「よし。良い感じ!
じゃあ次は肩を抱き寄せるカットちょうだい」
もう何を要求されても驚かなくなってきたわたしは、言われるがまま淡々と撮影に参加した。
唯一楽しいなと思ったのは、比護さんと話をしている時だった。
気を遣ってか、撮影しながら本当のデートみたいに話をする。
カメラマンの要求に応え、わたしの肩を抱き寄せると、比護さんが驚いたように言う。
「華奢だ。」
「そう?」
「ああ。
こないだひったくりに掴みかかってた子とは思えない」
「もう!そんなの思い出さなくていいからー!」
比護さんは笑う時、片眉を下げてクシャッと笑う。
あははと声を出しながら。
笑い方がすこしだけ、タクミに似ていた。
同い年ということもあって、だんだん打ち解けてくると、
タメ口も呼び捨てで呼ぶのも抵抗がなくなってきた。
「そう言えば、何であの子達と知り合いなの?」
「前に事件でちょっとね。
それより、あそこで見てる彼、君の彼氏?」
「え?」
比護さんが指す方を見ると、沖矢さんが腕組みをしたままじーっとこちらを睨んでいた。
肩を抱き寄せる比護さんを今にも狙撃しそう。
「さっきから、すごい顔でこっち見てきてるから」
「うん。彼氏」
こないだの京都旅行の時の教訓を活かし、ちゃんと彼氏と言えたことに自分の成長を感じる。
彼氏…なんていい響きなの…
この人がわたしの彼氏なの!って、世界中の人に言って回りたいぐらいだ。
そんな風に思っているのが、顔に出ていたのかもしれない。
ふふっと笑うわたしを見て、比護さんは少しだけ声のトーンが低くなったと思えば
「ヤキモチ、焼かせてみるか」
そう言って比護さんは、わたしの手を引いて顔をギリギリまで近づけた。
「?!!?」