【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第18章 Call my name
そんなわたしたちを見て、カメラマンさんがうーんと首を傾げた。
「もう少し距離近い感じが欲しいねー。
名前で呼び合って見てくれる?」
そう言われて、名前で呼ぼうとしたとき、比護さんの名前が全然出てこない。
こないだ連絡先を書いた紙をもらったときにフルネーム書いてたのに。
「名前…比護さんって下の名前なんだっけ?」
「君、本当に俺に1ミリも興味ないよな。
…隆佑だよ」
「じゃあ。 隆佑?」
じっと比護さんの目を見て名前を呼ぶと、比護さんもわたしの目を見つめ返して名前を呼んだ。
「サラ…」
「な、なんか照れますね」
「照れるよ」
まさかこんな風に名前で呼び合うことになるとは思っておらず、わたしたちはかあーっと顔を赤くして目を逸らす。
その間にシャッター音が驚くほど鳴っている。
そう言えばわたし、赤井さんのことはずっと赤井さんって呼んでるな。
だって赤井さんは赤井さんだし、わたしより8も歳上だし、なんならたまに敬語使っちゃうし。
ふと、「秀一」と呼ぶことを想像すると、ぼっと顔が熱くなった。
よ、呼べない。絶対呼べない。
下の名前で呼ぶなんて無理。
心臓止まる。
自分の彼氏を名字で呼び続けるくせに、知り合って間もない男の人を呼び捨てにできるのはわたしだけなのかもしれない。
むしろ、今までの歴代彼女は赤井さんのこと、なんて呼んでたんだろう。
ジョディさんは秀って呼んでるな…宮野明美さんは、なんて呼んでたんだろう。
きっと「赤井さん」って呼び続けた人はいないよね。
それならわたしはずっと名字で呼んでいたい。
昔の人と同じ呼び方はしたくない。
そんな独占欲丸出しのことを考えながら、わたしは比護さんとのデート特集を卒なくこなしていった。