第18章 Call my name

「大変だなー。比護さんも。」

「なんの撮影でしょうか？」


コナンくんと光彦くんが、比護さんを見ると、
比護さんはスタッフの人と神妙な面持ちで話をしている。


「悪いんだけど、相手役のモデルさんが急な体調不良で、リスケさせてくれないかって連絡が来てさあ」

「なるほど…困りましたね。
俺、ここ数日練習でスケジュール埋まってて今日ぐらいしか無いんすよ」

「やっぱりそうだよなぁー！
参ったな。特大号の目玉なんだよ。
比護隆佑のデートプラン特集。」


どうしようーと頭をガシガシかきながら悩む撮影スタッフの人と、わたしはぱちっと目があった。


「ね、君、比護くんの知り合い？」

「知り合いというか…顔見知りというか…」

「今日これから予定ある！？
もしよければモデルの代理、お願いできない？」

「えええ！」

「すっごーい！サラお姉さん！」

「比護さんと！で、デートですよぉ！！」

「待って。サラ、ちょっと」


はしゃぐ子供達をよそに、沖矢さんがわたしの手を引き、わたしに耳打ちをする。


「お前の顔を世間に晒すわけにはいかんだろう。」

「はっ…！そうでした…」

「全く。それに俺は、あの男の事ひとことも聞いていないんだが」

「ごめん。話すのすっかり忘れてた」


ヒソヒソと沖矢さんと会話するわたしを、撮影スタッフは催促に来る。


「で、どうだろう？やってくれない？」

「あ…折角ですけど、わたし顔出しNGっていうか…」

「ああ！それなら大丈夫！
比護くんメインで撮るから、顔は映さないよ！
アングル的にも工夫できるから！
よーしじゃあ決まりだ！」

「ま、待ってわたしやるなんて一言も…」


そう言うわたしを撮影スタッフの人はほぼ半強制的にロケバスの方へ引っ張っていく。

向こうのほうで哀ちゃんがものすごい形相でわたしを睨んでいるのが見えた。

これは完璧完全に嫌われたな…と、ロケバスに連行されながら思った。