【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第18章 Call my name
その様子を見ていた被害者と思われる男性は、わたしに申し訳なさそうに話しかけてくる。
「あの…すいません。
俺、携帯で電話しながら歩いてて…。
俺のせいで巻き込んでしまって」
「いや、あなたのせいじゃ…」
そう言って男性はサングラスを外しながら言った。
焼けた肌と髪に、顎髭、体格が良く、歳はわたしと同じぐらいか、少し上?
彼の顔をじーっと見ながら観察していると、
「これ、弁償させてください」
そう言いながら、3万円を手渡してきた。
「いや、さすがに受け取れません!」
「本当は同じものを買ってきて渡すべきなんだろうけど、今日この後急ぎの用があって、そこに向かわないと行けないんで…」
そう言って、彼はわたしの手にお金を握らせた。
「じゃあ…すみませんがお言葉に甘えて…」
「じゃあ、俺はもう行かないと。
…あ。もし良かったら、俺の番号渡しておくんで。
タイミング合えば改めてお礼させてください」
そう言うと、その人は財布からレシートを抜き取って、ボールペンで連絡先を書き、わたしに渡した。
「比護…さん?」
比護隆佑
090-xxxx-xxxx
貰った紙を見ながら、わたしがポツリと彼の名前を呼ぶと、
わたしのその反応を見て、比護さんはおかしそうにプッと笑って言う。
「君の名前は?」
「…桜井サラです」
「じゃあ、また。」
そう言って、比護さんはタクシーを捕まえるとまたサングラスをかけて颯爽とその場を立ち去っていった。
お皿買うのにこんなにお金いらないんだけどなあ。
見ず知らずの人にポンっと3万渡すってことは、どっかのIT企業の社長とか?
見た目も結構チャラかったし。
そう思いながら、わたしはもう一度お皿を買い直しに店に向かった。