第16章 花束　☆

百合ちゃんを駅まで送って、家に帰ってきた。
どうやら赤井さんはまだ帰ってきてないらしい。
夕方過ぎには戻るって言ってたのになー。

特に気にも留めず、わたしはリビングに置いてある買い物袋の中を冷蔵庫に入れようとした。


「あれ？」


袋に入れていたはずの商品が外に出てる。
わたし、外に出したまま出掛けたっけ？

…まあいっか。
細かい事をあまり気にしない主義のわたしは、ソファーの上に広がった品物をかき集めて冷蔵庫に入れた。

さて。うどんを湯掻くぞー！
そう意気込んで、コンロを回そうとした時、玄関のドアがガチャリと開く音がした。


あ！赤井さん帰ってきた！

そう思い、パタパタと玄関まで走って


「おかえりー！」


と言うと、目の前には赤井さんじゃなくて、赤いバラの花束がある。


「え？！」


一瞬、何事かと思っていると、花束の向こうから赤井さんの顔が見えた。