第15章 Time after time ☆

「ごちそうさま。ありがとう…」


サラはいつも、ちゃんとごちそうさまとありがとうを言う。
それすら、要らないと思ってしまうぐらいなんだ。俺は。

店を出て、しばらく人通りの少ない裏路地を通っているとき


「お前が美味そうに食ってるのを見るのが好きなんだ。」


なんか納得のいってないような顔のサラにそう言いながら、頭をぽんと撫でるとサラは笑って言った。


「すっっっっごく美味しかった。また来ようね」


そして俺の手をぎゅっと握ってくる。

あ。今、キスしたい。
そう思った俺は、サラの手を引いて唇を重ねた。

数秒キスをして、ゆっくり離すと、サラは顔を赤くして言う。


「誰かに見られちゃうよ」

「人通り少ないし、問題ない」

「…じゃあ、ワガママ言っていい？」

「？」

「もう一度、して？」


上目遣いでそう言われると、たまらず俺はまたサラの頬に手を添えて唇を奪った。
思わず勢い余って舌も入れそうになったが、そこは我慢して思いとどまった。

2度目のキスの後、またゆっくりと唇を離すと、サラは俺の腕にしがみつく。


「…幸せすぎて、苦しいよ」

「馬鹿…」


俺もそう思う。幸せすぎて、怖い。

俺たちは二人で顔を見合わせて笑って、また手を繋いで大通りの方へ向かって歩いた。