【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第2章 嘆きのキス
赤井side
雷が落ちたと思ったら突然廊下でサラが叫ぶ声が聞こえた。
何事かと思い、そばによると、サラは過呼吸になりながら、仕切りに助けて…と繰り返していた。
俺は思わずサラを後ろから抱きしめ、暴れるサラを落ち着かせた後、苦しそうに呼吸をするサラの頰を撫でた。
過呼吸か…近くに何か被せられるものはないか…
一瞬そう思ったが、探すのをやめた。
サラの頰を両手で覆い、そのまま苦しそうなサラの口を自分の唇で塞いだ。
呼吸を送り込み、だんだんサラの様子が落ち着いてくると、
少しだけサラの唇を味わう余裕ができた。
甘い、林檎の味がした。
ようやく呼吸が元通りになったとき、
サラは俺の首に腕を回してぎゅっとしがみついてきた。
まるで、行かないで。そう言っているように思えて、俺はサラが落ち着くまで抱きしめて髪を撫でた。
こんなに取り乱すとは、何か雷にトラウマでもあるのか。
そう思うと、俺はこいつのことを何も知らないんだと思い知らされる。
唇の味は知っていても、こいつの奥にある痛みをまだ知らない。
そんな自分な無力さをかき消すように、
またサラを抱きしめる力を強めた。