【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第2章 嘆きのキス
「…落ち着いたか?」
わたしの髪を撫でながら、赤井さんが優しく聞いた。
「うん…ごめんなさい。」
「…謝るな。何か飲むか」
そう言って、わたしの身体を立たせ、
腰に手を添えたまま、ダイニングに腰掛けた。
やっぱり、彼は何も聞かない。
どうしてこんなに取り乱したのか
気になってるはずなのに、聞かない優しさ、気づいてる。
赤井さんは、コップに水を入れて出してくれた。
「寝る前だから、味のないものがいいだろう」
「ん。ありがとう」
水を喉に入れると、なんとなくさっきの赤井さんの唇の感覚が薄れた気がして切なくなった。
「わたしね、…雷だめなの。」
初めて自分の話をするわたしを見て、赤井さんは目を丸くしながら聞いている。
「過去に、雷の日に嫌なことがあって…それで…」
ガクガクとコップを持つ手が震えると、その手に赤井さんの手が重なる。
「無理に話さなくて良い。」
赤井さんはそう言ってまたわたしの髪を撫でた。
「これまで何度もこういうことあったの。
でも1人だったから、苦しくても運良く落ち着くか、息できなくなって死ぬかのどっちかだって思ってた」
「そうか」
「でも、さっき赤井さんがいてくれて、…嬉しかった。」
「ああ。」
赤井さんは少し微笑むと、わたしの飲み干したコップを取って、キッチンに向かった。
もっと、彼の近くに行きたい。
そう思ったわたしは、後ろからついていき、彼の背中にきゅっとしがみついた。
「…?サラ?」
抱きしめてほしい
キスしてほしい
その二言が言えなくて、何も言わずにただしがみつく。
された側からするともどかしいだろう。
赤井さんは はぁーっとため息をついたと思うと、
わたしの手を引いて、壁に押し当てた。
背中に壁、すぐ目の前に赤井さんで逃げ場がないまま、
上の方から赤井さんの顔が徐々に近づいてきて、
唇が重なった。
ちゅ…
と触れるだけのキスをして、唇を少し離し、わたしの目をじっと見つめた後、言った。
「嫌なら押しのけろ」
「…嫌じゃない。」
その言葉と同時に、また唇が重なって今度は長めのキスをくれる。
そしてまたぎゅっと抱きしめられたとき
好きが溢れて仕方なかった。
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