【R18】You belong with me 【赤井秀一】
第14章 夢見る隙間 ☆
画面に映っているのは、金髪のアニメキャラクター
「ルカくんって言うの。」
にこっと語尾にハートマークを付けて、まるで自分の彼を紹介するみたいに言うサラ。
「やっと2年目なんだけど、ようやくわたしのこと、名前で呼んでくれたんだよ?
前まで苗字だったのに、今日のデートの終わりに突然…うれしすぎる」
そう言ってボイスをオンにして聴かせてくるサラ。
[サラ。ダメ?名前で呼んじゃ]
と、金髪イケメンが首を傾げながら聞いてくる。
俺は思わずそのゲームに表示されている、
▷いいよ
ダメ
の選択肢の「ダメ」を選ぼうとしたが、気づいたサラに止められる。
「あっ!なにするの!」
「お前が悪い」
「なんでよ!もう。
自分の部屋で続きやるー!
あ、ジョディさんキャメルさん、ごゆっくり」
そう言って得意の営業スマイルで2人に微笑みかけ、俺にはぷいっとそっぽを向いて二階に上がっていった。
チッ。取り上げてやればよかった。
そんな風な顔をしてグッと酒を飲む俺を見て、キャメルが言う。
「なんか、赤井さん…人らしくなりましたね」
「ん?」
「前はあまり人に心を許さない狼って感じでしたし…」
「まあそうねー。
私と付き合ってる時もそんな感じだったわ。
仕事のためにあっさり捨てられたしね」
ジロ…とこちらを見ながらジョディが言う。
「別に、変わったつもりはないんだがな」
そんなことを言うが、実は少し俺も自覚していたりする。
前までは、誰がどこで何をしようがどうでもよかった。
他人には全くと言って良いほど興味がなかったし。
けれど今は、サラの言動ひとつひとつがいちいち気になる。
「やっぱり、恋人ができると変わるんですかねぇ。」
「当の本人はゲームの中に新しい恋人を作ろうとしているようだがな」
「たかがゲームでしょ?」
ジョディは呆れたようにそんな風に言う。
ゲームだろうと、ハリウッド俳優だろうと、俺以外の男には変わらないんだ。
そう思う俺の方がどうかしているのか。
そう悶々と考えながら、注がれた酒をまた飲み干した。